「菊の根分をしながら」より 著者:会津八一
様に生気に満ちたもののやうに見える。しかし経験のある栽培家は思ひもかけぬほど遠い所へ顔を出して居る芽を
択ぶのである。親木のわきに在る芽はどうしても弱い。よくよく自分の活力に自信のあるのが親木をたよらずに遠....
「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
編輯長も存在しない。営業部長によつて象徴される非個人的な計算があるばかりである。計算器の求めに応じた選
択があるばかりだ。現代にもつてくれば、藤村、秋声、二葉亭、漱石、鴎外、枕をならべて落第である。即効百万....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
云うものは、どこにだってありはしないです。誰でもある事実の記録をするには自然と自分でディテエルの取捨選
択をしながら、書いてゆく。これはしないつもりでも、事実としてするのだから仕方がない。と云う意味は、それ....