「一片の石」より 著者:会津八一
とし。 上に堕涙の碑のあり、 青苔して久しく磨滅せり。 とか、また 君見ずや、晋朝の羊公一片の石、
亀頭剥落して莓苔を生ず。 涙またこれがために堕つ能はず、 心またこれがために哀しむ能はず。 とか、あ....
「隅田の春」より 著者:饗庭篁村
みちみち》ていづれも豪傑然《がうけつぜん》たり、機会《とき》にあたれば気は引立《ひきたつ》ものなり、元
亀《げんき》天正《てんしやう》の頃《ころ》なれば一国一城の主《ぬし》となる手柄《てがら》も難《かた》か....
「糸女覚え書」より 著者:芥川竜之介
人質に参るよりも難渋なる思ひを致し候。殊にわたくしは蝸牛《かたつむり》にも、鴉《からす》にも、豚にも、
亀の子にも、棕梠《しゆろ》にも、犬にも、蝮《まむし》にも、野牛にも、病人にも似かよひ候よし、くやしきお....