「散文詩」より 著者:石川啄木
。その路から此路へ、何時、何處から迷込んだのか解らない。瞬きをしてゐる間に、誰かが自分を掻浚つて來て恁
麼《こんな》曠野に捨てて行つたのではないかと思はれる。 足の甲の草鞋摺が痛む。痛む足を重さうに引摺つ....
「日本無政府主義者陰謀事件経過及び付帯現象」より 著者:石川啄木
いて過激な言論を弄ぶやうになつては從來會場を貸して居た佛教及び耶蘇教の會堂でも其を斷るやうになつた、其
麼工合で居る中に渠等の言動は漸く政治上の社會主義乃至無政府黨的言論以外に迄走つて萬事に不平的破壞的態度....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
あま》り大《おほき》いから一寸《ちよツと》は気《き》がつかぬであつた、何《なん》の畠《はたけ》でも、甚
麼《どんな》履歴《りれき》のある沼《ぬま》でも、此位《このくらゐ》な蛭《ひる》はあらうとは思《おも》は....