「おぎん」より 著者:芥川竜之介
てしまった。勿論《もちろん》彼等他国ものは、天主のおん教を知るはずはない。彼等の信じたのは仏教である。
禅《ぜん》か、法華《ほっけ》か、それともまた浄土《じょうど》か、何《なに》にもせよ釈迦《しゃか》の教で....
「枯野抄」より 著者:芥川竜之介
みてゐるやうに思はれる。するとこの時、去来の後の席に、黙然と頭《かうべ》を垂れてゐた丈艸は、あの老実な
禅客の丈艸は、芭蕉の呼吸のかすかになるのに従つて、限りない悲しみと、さうして又限りない安らかな心もちと....
「寒山拾得」より 著者:芥川竜之介
「何、死にやしません。ああ見えたつて、ありや普賢文殊《ふげんもんじゆ》です。あの友だちの豊干《ぶかん》
禅師つて大将も、よく虎に騎《の》つちや、銀座通りを歩いてますぜ。」 それから五分の後《のち》、電車が....