「一片の石」より 著者:会津八一
土台や石垣の下積みになることもある。追慕だ研究だといつて跡を絶たない人たちの、搨拓の手のために、磨滅を
促すこともある。そこで漢の時代には、いづれの村里にも、あり余るほどあつた石碑が、今では支那全土で百基ほ....
「菊の根分をしながら」より 著者:会津八一
の独立自恃の精神の存在である。一昨年以来菊が私に示した悲壮な態度、その元気の頼もしさに私も心から栽培を
促されるのである。同情や援助といふものは求めても無暗に与へられるものではない。猥りに左様いふものを求め....
「老いたる素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、あなたの御命が危うございます。私の事なぞは御かまひなく、一刻も早く御逃げ下さいまし。」と、心配さうに
促し立てた。 しかし葦原醜男は笑ひながら、子供のやうに首を振つて見せた。「あなたが此処にゐる間は、....