「良夜」より 著者:饗庭篁村
教えられ、人に逢えばその事を吹聴さるるに予も嬉しき事に思い、ますます学問に身を入れしゆえ、九歳の時に神
童と言われ、十三の年に小学校の助教となれり。父の名誉、伯父の面目、予のためには三条の町の町幅も狭きよう....
「あの頃の自分の事」より 著者:芥川竜之介
谷崎氏は、在来氏が開拓して来た、妖気靉靆《えうきあいたい》たる耽美主義の畠に、「お艶殺し」の如き、「神
童」の如き、或は又「お才と巳之助」の如き、文字通り底気味の悪いFleurs du Mal を育ててゐた....
「芋粥」より 著者:芥川竜之介
ぢ》の衢風《ちまたかぜ》に、吹かせてゐたと云ふ気がする。上《かみ》は主人の基経から、下《しも》は牛飼の
童児まで、無意識ながら、悉《ことごとく》さう信じて疑ふ者がない。 かう云ふ風采を具へた男が、周囲から....