「糸女覚え書」より 著者:芥川竜之介
るること、久しきならはしと相成り居り候。これはみな三斎《さんさい》様(忠興)秀林院様、お二かたのおん焼
餅より起りしことにて、黒田家の森太兵衛などにも、さてこそ不自由なる御家法も候ものかなと笑はれしよしに御....
「芋粥」より 著者:芥川竜之介
つてゐたからである。尤《もつと》も、大饗に等しいと云つても昔の事だから、品数の多い割りに碌な物はない、
餅、伏菟《ふと》、蒸鮑《むしあはび》、干鳥《ほしどり》、宇治の氷魚《ひを》、近江《あふみ》の鮒《ふな》....
「貝殻」より 著者:芥川竜之介
二 河鹿 或温泉にゐる母から息子《むすこ》へ人伝《ひとづ》てに届けたもの、――桜の実《み》、笹
餅、土瓶《どびん》へ入れた河鹿《かじか》が十六匹、それから土瓶の蔓に結《むす》びつけた走り書きの手紙が....