「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
うさ。」「天命を知っても尚、戦うものだろうと思うですが。」「そうさ。」「すると項羽は――」 劉
邦《りゅうほう》は鋭い眼光をあげて、じっと秋をまたたいている燈火《ともしび》の光を見た。そうして、半ば....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
人は、横浜の宿屋へ泊って日本人の夜着を見た時に、「是《これ》古《いにしえ》の寝衣《しんい》なるもの、此
邦《このくに》に夏周《かしゅう》の遺制《いせい》あるなり。」とか何とか、感心したと云うじゃないか。だか....
「きりしとほろ上人伝」より 著者:芥川竜之介
予が所蔵の切支丹版「れげんだ・おうれあ」の一章に、多少の潤色を加へたものである。但し「奉教人の死」は本
邦西教徒の逸事であつたが、「きりしとほろ上人伝《しやうにんでん》」は古来|洽《あまね》く欧洲天主教国に....