「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ではない。彼の本拠はハドソン河の岸のオランダの百姓がたいへん好んで住むような緑濃い、奥まった、地味の肥
沃《ひよく》なところにあった。エルムの巨木がその邸の上にひろびろと枝をひろげ、その根かたには泉があって....
「澄江堂雑記」より 著者:芥川竜之介
の記事を変更した、その変更のし方に見えるかも知れぬ。倉田氏が俊寛の娘を死んだ事にしたり、菊池氏が島を豊
沃《ほうよく》の地にしたり、――それらは皆両氏の俊寛、――「苦しめる俊寛」と「苦しまざる俊寛」とを描出....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
た。が、ちょうど南に向いた硝子窓の框《かまち》の上には薬壜《くすりびん》が二本並んでいた。 「ははあ、
沃度剤《ヨオドざい》を使っていたな。――」 Sさんは僕等をふり返って言った。 「この別荘の主人は肺病....