「遺書」より 著者:芥川竜之介
もの、――鶴田君にアラビア夜話十二巻あり。 二他より借りしもの、――東洋文庫より Formosa(台
湾)一冊。勝峯晋風氏より「潮音」数冊。下島先生より印数顆、室生君より印二顆。(印は所持者に見て貰ふべし....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
子戸棚の中の絵をさし示した。私《わたくし》は頷《うなず》いた。雲母《きらら》のような波を刻んでいる東京
湾、いろいろな旗を翻《ひるがえ》した蒸汽船、往来を歩いて行く西洋の男女の姿、それから洋館の空に枝をのば....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
しも全然面白味のないものではなかった。しかし僕は京調《けいちょう》の党馬や西皮調《せいひちょう》の汾河
湾《ふんかわん》よりも僕の左に坐った芸者に遥《はる》かに興味を感じていた。 僕の左に坐ったのは僕のお....