「学校友だち」より 著者:芥川竜之介
一歩も二歩も遜《ゆづ》りしを記憶す。園芸を好み、文芸をも好みしが、二十《はたち》にもならざるうちに腸結
核《ちやうけつかく》に罹《かか》りて死せり。何処《どこ》か老成の風ありしも夭折《えうせつ》する前兆なり....
「彼」より 著者:芥川竜之介
た後《のち》、一年とたたぬうちに病人となり、叔父《おじ》さんの家へ帰るようになった。病名は確かに腎臓結
核《じんぞうけっかく》だった。僕は時々ビスケットなどを持ち、彼のいる書生部屋へ見舞いに行った。彼はいつ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
た。彼はこの数日以来、門の内へはいるが早いか、忽《たちま》ち妙な臭気を感じた。それは老人には珍しい肺結
核の床に就《つ》いている玄鶴の息の匂《におい》だった。が、勿論《もちろん》家の外にはそんな匂の出る筈《....