「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ているので、非常に面白い。 ファラデーはロンドンに育ったから、市外の青野を見ていたばかりで、小山を山
岳と思い、小石を岩石と思っていたという次第である。それゆえロンドンを立ってデボンシャイアに来たばかりで....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
足の情が、今更のようにあふれて来た。丁度、去年の極月《ごくげつ》十五日に、亡君の讐《あだ》を復して、泉
岳寺《せんがくじ》へ引上げた時、彼|自《みずか》ら「あらたのし思いははるる身はすつる、うきよの月にかか....
「河童」より 著者:芥川竜之介
へ登らうとしました。穂高山へ登るのには御承知の通り梓川を溯る外はありません。僕は前に穂高山は勿論、槍ヶ
岳にも登つてゐましたから、朝霧の下りた梓川の谷を案内者もつれずに登つて行きました。朝霧下りた梓川の谷を....