「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
かな場所である。小川が滑るように流れそのせせらぎは人を眠りにいざない、ときたま鶉《うずら》が鳴いたり、
啄木鳥《きつつき》の木を叩《たた》く音が聞えるが、あたりに漲《みな》ぎる静寂を破る響はそれくらいのもの....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
放漫なるを非難したる事ありしが、何時か久米の倨然たる一家の風格を感じたのを見ては、鶏は陸《くが》に米を
啄《ついば》み家鴨は水に泥鰌《どじょう》を追うを悟り、寝静まりたる家家の向う「低き夢夢の畳める間に、晩....
「クラリモンド」より 著者:芥川竜之介
かも冷酷な清潔が保たれてゐる。わし達は垣の内へ入つた。五六匹の雛《ひよ》つ仔《こ》が地に撒いてある麦を
啄んでゐる。見た所では、僧侶の黒い法衣にも慣れたやうに、少しもわし達を怖がらない。そして殆どわし達の歩....