「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
水面はじっと鏡のようで、ただところどころに静かな波がおこって、遠くの山の青い影をながくのばしていた。琥
珀色《こはくいろ》の雲が二つ三つ空にうかび、風はそよりともせず、雲は動かなかった。地平線は金色に光って....
「お富の貞操」より 著者:芥川竜之介
えない屋根の上へ時々急に降り注いでは、何時《いつ》か又中空へ遠のいて行つた。猫はその音の高まる度に、琥
珀《こはく》色の眼をまん円《まる》にした。竈《かまど》さへわからない台所にも、この時だけは無気味な燐光....
「好色」より 著者:芥川竜之介
云ふ顔をしたのは、存外人を食つてゐるものだ。その上色も白い方ぢやない、浅黒いとまでは行かなくつても、琥
珀色《こはくいろ》位な所はあるな。しかし何時見てもあの女は、何だかかう水際《みづぎは》立つた、震《ふる....