「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
公は寺村|左膳《さぜん》、後藤|象《しやう》次郎を以て使となし、書を幕府に呈《てい》す。曰ふ、中古以|
還《くわん》、政刑《せいけい》武門に出づ。洋人來航するに及んで、物議《ぶつぎ》紛々《ふん/\》、東攻西....
「あの頃の自分の事」より 著者:芥川竜之介
今日も猶《なほ》氏の「雑感」を読み返すと、常に昔の澎湃《はうはい》とした興奮が、一種のなつかしさと共に
還つて来る。我々は――少くとも自分は氏によつて、「驢馬の子に乗り爾《なんぢ》に来る」人道《ユウマニテエ....
「岩野泡鳴氏」より 著者:芥川竜之介
通り、一瞬間に過ぎなかつた。僕がまだ何とも答へない内に、氏の眼には忽《たちま》ち前のやうな溌剌たる光が
還《かへ》つて来た。と同時に泡鳴氏は恰《あたか》も天下を憐れむが如く、悠然とかう云ひ放つた。 「尤も僕....