「良夜」より 著者:饗庭篁村
見ゆる鬱金《うこん》木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり。学校の教師朋友などが送別の意を表して墨画の
蘭竹または詩など寄合書にしたる白金布の蝙蝠《こうもり》傘あるいは杖にしあるいは日を除け、道々も道中の気....
「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
ようかく》の兵已に敗る。海律全書《かいりつぜんしよ》二卷を以て我が海軍に贈《おく》つて云ふ、是れ嘗て荷
蘭《おらんだ》に學んで獲《え》たる所なり、身と倶に滅《ほろ》ぶることを惜しむと。武揚の誣ふ可らざるの情....
「あばばばば」より 著者:芥川竜之介
かはらず》勘定台の前に受取りか何か整理してゐる。かう云ふ店の光景はいつ見ても悪いものではない。何処か阿
蘭陀《オランダ》の風俗画じみた、もの静かな幸福に溢れてゐる。保吉は女のすぐ後ろに受話器を耳へ当てたまま....