「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
んの『宙を飛ぶパラソル』はこのあたりでの出来ごとである――の果て近くまで論じ来り、遂いに淋しい松根に御
輿をすえてしまい、秋月すでに帰り、太陽は名代の顔にしまを作ったと云う事である。こうした情熱と根強さが、....
「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
ゐて京師を發す。婢《ひ》あり別れを惜みて伏水《ふしみ》に至る。兵士|環《めぐ》つて之を視《み》る。南洲
輿中より之を招き、其背を拊《う》つて曰ふ、好在《たつしや》なれと、金を懷中《くわいちゆう》より出して之....
「悪魔」より 著者:芥川竜之介
のを見たと云ふ。 しかしそれらの悪魔の中で、最も我々に興味のあるものは、なにがしの姫君《ひめぎみ》の
輿《こし》の上に、あぐらをかいてゐたと云ふそれであらう。古写本《こしやほん》の作者は、この悪魔の話なる....