「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
ぶ能はざるの血性、其火の如くなる功名心、皆、此「上有横河断海之浮雲、下有衝波逆折之回川」の木曾の高山幽
壑の中に磅※したる、家庭の感化の中より得来れるや、知るべきのみ。吾人既に彼が時勢を見、既に彼が境遇を見....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
妙な小天地が浮び上ったのです。私は胸を躍《おど》らせながら、じっと壁上の画を眺めました。 この雲煙邱
壑《うんえんきゅうがく》は、紛《まぎ》れもない黄一峯《こういっぽう》です、癡翁《ちおう》を除いては何人....
「A LETTER FROM PRISON」より 著者:石川啄木
く無益の犧牲を出すのみで、革命に利する處はないと思ひます。が、政府の迫害や富豪の暴横其極に達し、人民溝
壑に轉ずる時、之を救ふのは將來の革命に利ありと考へます。左ればかかることは利益を考へてゐて出來ることで....