「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
の短きに迫らしめたり。夫水蹙れば魚益※躍る。是に於て平氏は、恰も傷きたる猪の如く、無二無三に過重なる収
斂を以て、此窮境を脱せむと欲したり。平氏が使者を伊勢の神三郡に遣りて、兵糧米を、充課したるが如き、はた....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。魚と鳥との鬪はいよ/\激しく、湖水の面ゆらぐまに/\、幾重ともなき大なる環を畫き出せり。鳥の翼は忽ち
斂《をさ》まり、忽ち放たれ、魚の背は浮ぶかと見れば又沈みつ。數分時の後、雙翼靜に水を蔽ひて、鳥は憩ふが....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
かと土間に下りたり。 口上はいよいよ狼狽して、為《せ》ん方を知らざりき。見物は呆《あき》れ果てて息を
斂《おさ》め、満場|斉《ひと》しく頭《こうべ》を回《めぐ》らして太夫の挙動《ふるまい》を打ち瞶《まも》....