「駅伝馬車」より 著者:アーヴィングワシントン
せる。そして若し料理人が頭のはたらく男なら、旨い旨いと指先をしやぶるのである。」 わたしの此の有難い
空想を破つたのは乘合の少年旅客の叫聲であつた。少年たちは今まで數哩の間、馬車の窓から外を眺めて、故郷に....
「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
る樅の樹蔭に隱れ、殆ど植込の中に埋つてゐた。 馭者は門番の大きな鐘を鳴した、鐘の音は靜かな凍てついた
空氣の中でりんりんと響き渡り、之に應じて遠くで犬の吠えたてる聲がした。犬たちがこの邸宅を護つてゐるのと....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
そこは心地よいまどろみの国。 夢は半ばとじた眼の前にゆれ、 きらめく楼閣は流れる雲間にうかび、 雲はたえず夏
空に照りはえていた。 ――倦怠《けんたい》の城 ハドソン河の河幅がひろがり、むかしオランダ人の航海....