「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
出した彼は、やがて誰一人飛んだ事のない、三丈ほども幅のある流れの汀《なぎさ》へ足を止めた。そこは一旦|
湍《たぎ》った水が今までの勢いを失いながら、両岸の石と砂との間に青々と澱《よど》んでいる所であった。彼....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
かせながら、ひづめに火花を散らして、まっしぐらに狂奔する。一町二町月明かりの小路は、太郎の足の下で、急
湍《きゅうたん》のように後ろへ流れた。 するとたちまちまた、彼のくちびるをついて、なつかしいことばが....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
往來する所の情の、終に散じ終に銷《せう》すること此飛泉と同じきを想ひて、忽ち歌ひ起していはく。人生の急
湍《きふたん》は須臾《しゆゆ》も留まることなし。太陽同じく照すといへど、一滴一沫よりして見れば、その光....