「日本の女」より 著者:芥川竜之介
だのも茂つてゐる。あたりまへの歯朶《しだ》も到る所にある。木蔦《きづた》も壁にからんでゐる。道ばたには
薊《あざみ》も沢山《たくさん》ある。」 まあかういふ調子である。さて、その日本の女を論ずるのを見ると....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ごりなる、寂しき櫛形|迫持《せりもち》を寫し、羊の群を牽《ひき》ゐたる牧者を寫し、さてその前に枯れたる
薊《あざみ》を寫すのみ。歸りてこれを人に示せば、看るもの皆めでくつがへるなるべし。されど我と牧者とは、....
「橋」より 著者:池谷信三郎
よ、とシイカが笑った。アリストテレスが言ったじゃないの、万物は臍を有す、って。そして彼女の真紅な着物の
薊《あざみ》の模様が、ふっくらとした胸のところで、激しい匂いを撒《ま》き散らしながら、揺れて揺れて、…....