「或阿呆の一生」より 著者:芥川竜之介
動物的本能ばかり強い彼女に或憎悪を感じてゐた。 二台の人力車はその間に磯臭い墓地の外へ通りかかつた。
蠣殻《かきがら》のついた粗朶垣《そだがき》の中には石塔が幾つも黒《くろず》んでゐた。彼はそれ等の石塔の....
「少年」より 著者:芥川竜之介
吉《やすきち》は未《いま》だに食物《しょくもつ》の色彩――※脯《からすみ》だの焼海苔《やきのり》だの酢
蠣《すがき》だの辣薑《らっきょう》だのの色彩を愛している。もっとも当時愛したのはそれほど品《ひん》の好....
「澄江堂雑記」より 著者:芥川竜之介
ばならぬ。それが我等に与へられた、唯一《ゆゐいち》の成仏《じやうぶつ》の道である。 七 赤西
蠣太 或時|志賀直哉《しがなほや》氏の愛読者と、「赤西
蠣太《あかにしかきた》の恋」の話をした事がある....