「合本三太郎の日記の後に」より 著者:阿部次郎
へ行つてゐたために、私は小さい子を預つて女中と共に留守をしてゐなければならなかつた。私は丁度頭の中に醗
酵してゐる仕事を持ちながら、何も出來ずいら/\して一年間を空過しなければならなかつた。此等の文章は當時....
「三太郎の日記 第一」より 著者:阿部次郎
でゐる。進化の曲線は急激なる屈折を要する。自我の脈搏は今其調子を亂してゐる。吾人の内界には騷擾があり醗
酵があり憤激がある。 新しき具象を創造するには、志士となつて所謂事實を改造するか、哲學者となつて事相....
「三太郎の日記 第二」より 著者:阿部次郎
るベール(ステンダール)主義は要するに次のやうなものだと云つた。――「二人の人が相互に接近する。熱と醗
酵とが發生する。併し此の如き状態は悉く無常である。それは放縱に享樂す可き花に過ぎない。」俺は此快樂主義....