「続澄江堂雑記」より 著者:芥川竜之介
ないことも確《たし》かである。この漱石とは何ものであらうか? 太白堂三世《たうはくだうさんせい》村田桃
鄰《むらたたうりん》も始めの名はやはり漱石である。けれども僕の見た扇はさほど古いものとも思はれない。僕....
「大正十二年九月一日の大震に際して」より 著者:芥川竜之介
泰然|自若《じじやく》たる如き顔をしてゐれども、多少は驚いたのに違ひなし。病を力《つと》めて円月堂と近
鄰《きんりん》に住する諸君を見舞ふ。途上、神明町《しんめいちやう》の狭斜《けふしや》を過ぐれば、人家の....