「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
よ、幾千の山法師が、日吉権現の神輿を擁して、大法鼓をならし、大法螺を吹き、大法幢を飜し、咄々として、禁
闕にせまれるの時、堂々たる卿相の肝胆屡※是が為に寒かりしを。狂暴狼藉眼中殆ど王法なし。彼等が横逆の前に....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
が翼を遮ることあるまじきぞ。その一裹は尊き神符にて、また打出の小槌なり。おのが寶を掘り出さんまで、事|
闕《か》くことはあらじ。黄金も出づべし、白銀《しろかね》も出づべしといふ。媼は痩せたる臂《ひぢ》さし伸....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
四月に頓死したが、本多上野介正純《ほんだこうずけのすけまさずみ》が石見守に陰謀が有ったと睨んで、直ちに
闕所《けっしょ》に致し置き、妾《めかけ》を詮議して白状させ、その寝所の下を調べさしたところが、二重の石....