「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
に送り、また自分の熱心な証明として、デビーの講義の筆記も送った。しかし、この筆記は大切の物なれば、御覧
済みの上は御返しを願いたいと書き添えてやった。この手紙も今に残っているそうであるが、公表されてはおらぬ....
「支那の明器」より 著者:会津八一
足りない時は窮余の一策として自分の書いた書画に値段を附けて展覧会を開いて、其収入でやうやく商人の支払を
済ませたこともある。さういふ展覧会を私はこれまでに東京の銀座で一度、郷里で三度も開いた。こんな手もとで....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
実をこれまでに幾度となく認めて来た。今夜食べたものが好く消化していたら、私もおそらく自殺なんかしないで
済んだろう。 私は三十年このかた毎日腰をかけて来た肱掛椅子に腰を下ろした時に、ふと自分の周りにあるも....