「骨董羹」より 著者:芥川竜之介
不遇の士の黄白《くわうはく》に裕《ゆたか》なる筈なければ、やむ無く一株《ひとかぶ》六十|法《フラン》の
債券を同人に募りしかど、その唯一《ゆゐいち》の大《おほ》株主たるジユウル・ルナアルが持株すら僅々《きん....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
芽の匂《にお》うのを感じ、いつかしみじみと彼女の生まれた田舎《いなか》のことを思い出していた。五十円の
債券を二三枚買って「これでも不動産《ふどうさん》(!)が殖《ふ》えたのだからね」などと得意になっていた....
「或る女」より 著者:有島武郎
わ》れが起こって、倉地の力でそれをどうする事もできないらしい事はおぼろげながらも葉子にもわかっていた。
債権者であるか、商売仲間であるか、とにかくそういう者を避けるために不意に倉地が姿を隠さねばならぬらしい....