「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
鰻《うなぎ》の皮を手に入れることができればなおのことであった。鰻の皮はかみの毛にたいへん栄養になる強壮
剤だと国じゅうだれでも考えていたのである。 ところで、ブロム・ボーンズはこの場の大立者だった。彼はこ....
「開化の殺人」より 著者:芥川竜之介
夜来発熱甚しと云ふ。予は診察の後、その感冒に過ぎざるを云ひて、直《ただち》に家に帰り、子爵の為に自ら調
剤しぬ。その間約二時間、「かの丸薬」の函は終始予に恐る可き誘惑を持続したり。「十二月×日、予は昨夜子....
「早春」より 著者:芥川竜之介
の標本室はひっそりしている。看守《かんしゅ》さえ今日《きょう》は歩いていない。その中にただ薄ら寒い防虫
剤《ぼうちゅうざい》の臭《にお》いばかり漂《ただよ》っている。中村は室内を見渡した後《のち》、深呼吸を....