「良夜」より 著者:饗庭篁村
類を持ち去る、大方《おおかた》家作主の雇いしものならんと人も疑わざりしを、深沢が見咎めて糺《ただ》せば
詞《ことば》窮して担いかけし障子|襖《ふすま》を其所《そこ》へ捨て逃げ去りしなりというに、東京という所....
「大久保湖州」より 著者:芥川竜之介
《ゆる》さで、奥向にも倹素の風行はれしは、彼の本多佐渡守が秀忠将軍の乳母なる大婆に一言咎められて、返す
詞も無かりし一場の話に徴して知るべし。駿府にて女房等が大根の漬物の塩辛きに困じて、家康に歎きけるを、厨....
「河童」より 著者:芥川竜之介
」 丁度かう言ひかけた途端です。マツグは生憎脳天に空罎が落ちたものですから、quack(これは唯間投
詞です)と一声叫んだぎり、とうとう気を失つてしまひました。 八 僕は硝子会社の社長のゲエルに不思議に....