「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
。今や平氏政府の周章は其極点に達したり。然れ共、入道相国の剛腸は猶猛然として将に仆れむとする平氏政府を
挽回せむと欲したり。彼は、東軍の南海を経て京師に向はむとするを聞き、軍を派して沿海を守らしめたり。彼....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
柩のそばには、松根《まつね》さんが立っている。そうして右の手を平《たいら》にして、それを臼《うす》でも
挽《ひ》く時のように動かしている。礼をしたら、順々に柩の後ろをまわって、出て行ってくれという合図《あい....
「文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
う。「生まるる時の早かりしか、或は又遅かりしか」は南蛮の詩人の歎《なげき》ばかりではない。僕は福永|
挽歌《ばんか》、青木健作、江南文三《えなみぶんざ》等の諸氏にもかう云ふ歎を感じてゐる。僕はいつか横文字....