「良夜」より 著者:饗庭篁村
あるに世をはかなみて自ら身を棄《すて》んとするかの小女こそいたわしけれとまたその事に思い到りて、この清
浄の境に身を置きながら種々の妄想を起して再び月の薄雲に掩《おお》われたるも知らざりし。予がかくたたずみ....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
違いだった。 二人がどこの教会よりも一番よけいに出かけて行く教会があった。その教会の入口のところに「
浄めのお水」をかける老人がいた。二人はやがてこの老人と顔馴染になってしまった。聞けば、この老人も悲しい....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
るのでございましょう。これで、どのくらいじだらくな上下《じょうげ》の風俗が、改まるかわかりません。やれ
浄瑠璃《じょうるり》の、やれ歌舞伎のと、見たくもないものばかり流行《はや》っている時でございますから、....