「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ローマでは、モリシニが鋼鉄の針に太陽の光をあてて磁石にするという、あやしい実験を見、月夜にコロシウムの
廃趾を越え、朝早くカンパニアの原を過ぎ、ネープルに向った。匪徒《ひと》の恐れありというので、護衛兵をも....
「あの頃の自分の事」より 著者:芥川竜之介
まあよく云へば先生の感想を述べたもので、悪く云へば出たらめだからね。だから僕は大学の純文学科なんぞは、
廃止しちまつた方がほんたうだと思ふんだ。文学概論や何かは美学と一しよにする。文学史は史学へ片づけてしま....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ないであろう。――半三郎はこう考えるたびに、どうしても彼の脚だけは隠さなければならぬと決心した。和服を
廃したのもそのためである。長靴をはいたのもそのためである。浴室の窓や戸じまりを厳重にしたのもそのためで....