「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ンダ式の椅子《いす》や、黒いマホガニーのテーブルが鏡のように輝いており、薪《まき》おきは、シャベルや火
箸《ひばし》も一式ふくめて、アスパラガスの葉のかげに光っていた。梅花うつぎと巻貝とが煖炉《だんろ》の棚....
「秋」より 著者:芥川竜之介
《やはらか》な髭を撫でながら、大儀さうに長火鉢の前を離れた。信子はまだ妹へ祝つてやる品を決し兼ねて、火
箸で灰文字を書いてゐたが、この時急に顔を挙げて、「でも妙なものね、私にも弟が一人出来るのだと思ふと。」....
「芋粥」より 著者:芥川竜之介
粥の二字が、彼のすべての思量を支配してゐるからであらう。前に雉子《きぎす》の炙《や》いたのがあつても、
箸をつけない。黒酒の杯があつても、口を触れない。彼は、唯、両手を膝の上に置いて、見合ひをする娘のやうに....