「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
幅がひろがり、むかしオランダ人の航海者がタッパン・ジーと名づけていたところでは、彼らは用心していつでも
帆をちぢめ、航海者の守り、聖ニコラスに加護をねがいながら、横断したものだ。そこの東側の岸にくいこんでい....
「あばばばば」より 著者:芥川竜之介
代《だい》は勿論一銭である。しかし彼はこの時ほど、マツチの美しさを感じたことはない。殊に三角の波の上に
帆前船《ほまへせん》を浮べた商標は額縁へ入れても好《い》い位である。彼はズボンのポケツトの底へちやんと....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
江口は、大体として人間的興味を中心とした、心理よりも寧ろ事件を描く傾向があるようだ。「馬丁」や「赤い矢
帆」には、この傾向が最も著しく現れていると思う。が、江口の人間的興味の後には、屡如何にしても健全とは呼....