「大正十二年九月一日の大震に際して」より 著者:芥川竜之介
我等は皆|歎《なげ》くべし、歎きたりと雖《いへど》も絶望すべからず。絶望は死と暗黒とへの門なり。 同
胞よ。面皮《めんぴ》を厚くせよ。「カンニング」を見つけられし中学生の如く、天譴なりなどと信ずること勿《....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
箱車はちょっと眺めた所、肉屋の車に近いものだった。が、側《そば》へ寄って見ると、横に広いあと口に東京|
胞衣《えな》会社と書いたものだった。僕は後《うしろ》から声をかけた後、ぐんぐんその車を押してやった。そ....