「良夜」より 著者:饗庭篁村
ことさながらに足へ植えたるごとし。呉牛《ごぎゅう》の喘ぎ苦しく胡馬《こば》の嘶《いなな》きを願えども甲
斐なし。夜はなおさら昼のホテリの残りて堪えがたければ迚《とて》も寝られぬ事ならば、今宵は月も明らかなり....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
い表わしがたい快感を感じました。夜になってから、赤児が二度ほど泣きましたが、二人はその度《たび》に、甲
斐甲
斐《かいがい》しく起上って、あやしてやったり、「おしっこ」をさせてやったりしたので、朝方《あさがた....
「秋」より 著者:芥川竜之介
ると、雨外套《あまぐわいたう》も一人では脱げない程、酒臭い匂を呼吸してゐた。信子は眉をひそめながら、甲
斐甲
斐《かひがひ》しく夫に着換へさせた。夫はそれにも関らず、まはらない舌で皮肉さへ云つた。「今夜は僕が....