「きりしとほろ上人伝」より 著者:芥川竜之介
りしとほろ」の背《せな》にのぼるが常ぢや。所で「きりしとほろ」は旅人を肩へゆり上げると、毎時《いつ》も
汀《みぎは》の柳を根こぎにしたしたたかな杖をつき立てながら、逆巻く流れをことともせず、ざんざざんざと水....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
へ転《ころ》げ落ちて、眩《まば》ゆい水煙《みずけむり》を揚げる事もあった。が、大抵《たいてい》は向うの
汀《なぎさ》へ、ちょうど谷を渡る鹿のように、ひらりひらりと飛び移って行った。そうして今まで立っていたこ....