「クリスマス・イーヴ」より 著者:アーヴィングワシントン
るのである。 父子再會の有樣はいかにも愛情に滿ち溢れてゐた。夜は更けてゐたので、老主人はわたし達に旅
裳束を着替へることも許さず、すぐさま大勢集つてゐるところへ案内したが、團樂の場所は古風な大廣間であつた....
「老いたる素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》の仕度の出来たことを気がなささうに報じに来た。彼女は近親の喪《も》を弔ふやうに、何時の間にかまつ白な
裳《も》を夕明りの中に引きずつてゐた。 素戔嗚はその姿を見ると、急に彼女の悲しさを踏みにじりたいやう....
「きりしとほろ上人伝」より 著者:芥川竜之介
鼈甲《べつかふ》の櫛《くし》笄《かうがい》を円光の如くさしないて、地獄絵を繍《ぬ》うた襠《うちかけ》の
裳《もすそ》を長々とひきはえながら、天女のやうな媚《こび》を凝《こら》して、夢かとばかり眼の前へ現れた....