「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
愛せしめしならば、或は栄華を平氏と共にして、温なる昇平の新夢に沈睡したるやも亦知るべからず。さはれ、老
驥櫪に伏す。志は千里にあり。彼は滔々たる天下と共に、太平の余沢に謳歌せむには、余りに不覊なる豪骨を有し....
「「鏡花全集」目録開口」より 著者:芥川竜之介
の意、倶《とも》に相見するに堪《た》へたりと言ふ可し。我等皆|心織筆耕《しんしきひつかう》の徒、市に良
驥《りやうき》の長鳴を聞いて知己を誇るものに非ずと雖《いへど》も、野に白鶴の廻飛《くわいひ》を望んで壮....
「文部省の仮名遣改定案について」より 著者:芥川竜之介
常談なり。僕は警視庁保安課のかかる常談を取締まるに甚だ寛なるを怪まざる能はず。 僕は勿論山田孝雄氏の
驥尾に附する蒼蠅なり。只雑誌「明星」の読者を除ける一天四海の恒河沙人は必しも仮名遣改定案の愚挙たるを知....