「良夜」より 著者:饗庭篁村
学資を持たせ遣したりとあれば、それを此方《こちら》へ御預かり申さんとは存ぜしが、金銭の事ゆえ思召す所を
憚《はば》かりて黙止たりしが残念の事を仕《つかまつ》りたり」と言うに、いよいよ面目なくますます心は愚に....
「百万人のそして唯一人の文学」より 著者:青野季吉
》同然である。現に、今日楽しんで読まれさへすれば、明日は屑籠《くづかご》に投込まれても本望だと揚言して
憚《はばか》らない作家がある。いい覚悟だといふほかはない。この覚悟に徹底するのでなければ、通俗小説に安....
「南洲手抄言志録」より 著者:秋月種樹
《けいそつ》を尚ばず。 〔評〕南洲人に接《せつ》して、妄《みだり》に語《ご》を交《まじ》へず、人之を
憚《はゞか》る。然れども其の人を知るに及んでは、則ち心を傾《かたむ》けて之を援《たす》く。其人に非ざれ....