「クラリモンド」より 著者:芥川竜之介
は何度となくそれを接吻した。其間も彼女は、溢るゝ許りの愛情の微笑《ほゝゑみ》をもらして、わしをぢつと見
戍《みまも》つてゐるのである。 わしは恥しながら白状する。此時わしは僧院長《アベ》セラピオンの忠告も....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
きて、はかばかしく答もなさず、茫然としてただ、その黒檀《こくたん》の如く、つややかなる面《おもて》を目
戍《みまも》り居しに、彼、たちまちわが肩を抱《いだ》いて、悲しげに囁きけるは、「わが常に「いんへるの」....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
の形明に見ゆ。寂しきカムパニアの野邊を夜更けては過ぎじとて、こゝに宿りし農夫にやあらん。さらずばこゝを
戍《まも》る兵土にや。はた盜《ぬすびと》にや。さおもへば打物の石に觸るゝ音も聞ゆる如し。われは却歩《あ....