「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
って居る畠であった。所々丘のように高まって居る。また低い木立や草叢《くさむら》がある。暫く行くと道標の
杙《くい》が立って居て、その側に居酒屋がある。その前に百姓が大勢居る。百姓はこの辺りをうろつく馬鹿者に....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の梢《こずえ》へ暗くなる、ちょっと人足の途絶え処。 東へ、西へ、と置場処の間数《けんすう》を示した標
杙《くい》が仄白《ほのしろ》く立って、車は一台も無かった。真黒《まっくろ》な溝の縁に、野を焚《や》いた....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
一人、右側の廂《ひさし》が下った小家の軒下暗い中から、ひたひたと草履で出た。 声も立てず往来留のその
杙《くい》に並んで、ひしと足を留めたのは、あの、古井戸の陰から、よろりと出て、和尚に蝋燭の燃えさしをね....