「木曽義仲論」より 著者:芥川竜之介
と信じたりき。是豈、却て疲馬を死せしむるものたらざるなきを得むや。彼が遷都の壮挙を敢てするや、彼は、
桓武以来、四百年の歴史を顧みざりき。彼は「おたぎの里のあれやはてなむ」の哀歌に耳を傾けざりき。一世の輿....
「軍艦金剛航海記」より 著者:芥川竜之介
ら、しくしく胃が痛くなり始めた。 所が、その痛みは士官次室を失敬した後でも、まだ執拗く水おちの下に盤
桓してゐる。そこで僕はTに仁丹を貰つて、それを噛みながらケビンのベツドの上へ這ひ上つた。さうして寢た。....
「文芸的な、余りに文芸的な」より 著者:芥川竜之介
いはゆる》感覚は理智の光を帯びてはゐない。が、彼等の所謂感覚は、――たとへば横光利一氏は僕の為に藤沢|
桓夫《たけを》氏の「馬は褐色の思想のやうに走つて行つた」(?)と云ふ言葉を引き、そこに彼等の所謂感覚の....