「続野人生計事」より 著者:芥川竜之介
》の廓《くるわ》の見返《みかへ》り柳。 運河には石の眼鏡橋《めがねばし》。橋には往来《わうらい》の麦
稈帽子《むぎわらばうし》。――忽ち泳《およ》いで来る家鴨《あひる》の一むれ。白白《しろじろ》と日に照つ....
「大正十二年九月一日の大震に際して」より 著者:芥川竜之介
代りにカフエの殖《ふ》えない、もつと一体に落ち着いてゐた、――あなたもきつと知つてゐるでせう、云はば麦
稈帽《むぎわらばう》はかぶつてゐても、薄羽織を着てゐた東京なのです。その東京はもう消え失《う》せたので....
「長崎」より 著者:芥川竜之介
火照《ほて》るけはひ。町一ぱいに飛ぶ燕。 丸山の廓の見返り柳。 運河には石の眼鏡橋。橋には往来の麦
稈帽子。――忽《たちま》ち泳いで来る家鴨《あひる》の一むれ。白白と日に照つた家鴨の一むれ。 南京寺の....