「三太郎の日記 第二」より 著者:阿部次郎
等の同情と好意との表示を縁として、自己感情の耽溺に陷ることがあつた。牛が草を味ふが如くこれ等の賞讚を反
芻して、暫く沈潛の努力を忘れることがあつた。故に彼は此等の同情者によつて心を温められることがある一方に....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
合に原作を改むることを、芝居にては曲を曲《ま》ぐといふ。畫工は某《それ》の畑、某の井、其の積み上げたる
芻秣《まぐさ》をばえ寫さじといふ。これがためにさへ曲ぐべき詞も出來たるべし。最後におもなる女優又來りて....
「唐模様」より 著者:泉鏡花
《いへ》に駿馬《しゆんめ》あり。無類《むるゐ》の逸物《いちもつ》なり。恆《つね》に愛矜《あいきん》して
芻秣《まぐさ》を倍《ま》し、頻《しきり》に豆《まめ》を食《は》ましむれども、日《ひ》に日《ひ》に痩《や....