「或る女」より 著者:有島武郎
、蜘蛛《くも》のような白痴の子を小婢《こおんな》に背負わして、自分は葉子から預かった手鞄《てかばん》と
袱紗《ふくさ》包みとを取り落とさんばかりにぶら下げたまま、花々しい田川家の家族や見送り人の群れを見てあ....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ぬ。夫人。おん身はまことに世辭《せじ》好《よ》き人なり。我姿はいつもの通りなり。衣は緩《ゆる》く包みし
袱《ふく》の如し。否々、面を赤うし給ふことかは。おん身も年若き男達の癖をばえ逃れ給はずと思はる。今少し....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
五十鈴川の星と澄んだその目許も、鯰《なまず》の鰭《ひれ》で濁ろう、と可哀《あわれ》に思う。この娘が紫の
袱紗《ふくさ》に載《の》せて、薄茶を持って来たんです。 いや、御本山の御見識、その咽喉《のど》を聞き....