「鴉片」より 著者:芥川竜之介
つた。 「鴉片煙とは何物ぞ?」 「方今承平日に久しく、人口過剰に苦しんでゐる。宜しく大劫《だいこふ》の
銷除《せうぢよ》する有るべし。元来大劫なるものは水火刀兵の災に過ぐるものはない。この劫《こふ》に遇ふも....
「或る女」より 著者:有島武郎
倉地が欲すると思わしい激しい情欲を提供しようとしたのだ。そしてそうする事によって、葉子自身が結局自己を
銷尽《しょうじん》して倉地の興味から離れつつある事には気づかなかったのだ。 とにもかくにも二人の関係....
「即興詩人」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
すること久しうして、我に即興を求め給へり。われは平生|夢寐《むび》の間に往來する所の情の、終に散じ終に
銷《せう》すること此飛泉と同じきを想ひて、忽ち歌ひ起していはく。人生の急湍《きふたん》は須臾《しゆゆ》....