「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
の方が好《よ》いと云うのだから、不思議でしょう。そのほかまだその通町《とおりちょう》三丁目にも一つ、新
麹町《しんこうじまち》の二丁目にも一つ、それから、もう一つはどこでしたかな。とにかく、諸方にあるそうで....
「冬」より 著者:芥川竜之介
は女の泣き声よりも一層僕には人間的だった。僕は吊《つ》り革につかまったまま、夕明りの中に電燈をともした
麹町《こうじまち》の家々を眺め、今更のように「人さまざま」と云う言葉を思い出さずにはいられなかった。....
「死」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
それを受け取つて、「さあ、お上がんなさい。お上がんなさい」と侑《すゝ》めた。 ソロドフニコフはパンと
麹との匂のする生温《なまぬる》い水を飲んだ。その時歯が茶碗に障《さは》つてがちがちと鳴つた。 「やれや....