「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
が、したたか兵衛の小手を打った。綱利は甚太夫を賞するために、五十|石《こく》の加増を命じた。兵衛は蚯蚓
腫《みみずばれ》になった腕を撫《な》でながら、悄々《すごすご》綱利の前を退いた。 それから三四日経っ....
「糸女覚え書」より 著者:芥川竜之介
》を提《ひつさ》げ、お次迄|御介錯《ごかいしやく》に参られ候。未だ抜け歯の痛み甚しく候よし、左の頬先|
腫《は》れ上られ、武者ぶりも聊《いささか》はかなげに見うけ候。少斎申され候は、お居間の敷居を越え候はん....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
が、とにかく婆さんの話によれば、発頭人《ほっとうにん》のお上は勿論「青ペン」中《じゅう》の女の顔を蚯蚓
腫《みみずば》れだらけにしたと言うことです。 半之丞の豪奢を極《きわ》めたのは精々《せいぜい》一月《....